TJ.Famの日常 ニューオーリンズ編

2009年チェコ→2011年ドイツ→2015年日本→2020年アメリカと3か国目の駐在生活。TJ.Famの日常を綴ります。

New Orleans に来て早速、病院へ 中編

How y'all doin?

fine thank you,and you? と身体に染みついている構文で答えていては、全然、尺がハマらず、会話のテンポも狂い、自然ではない…。せいぜい、good,and y?くらいである。少しずつパターンが分かってきたような気がする。

 

先の見えない中、出入口のベンチで待つこと2時間。次男が起きた。こっちは室内が異常に寒い。空調が効きすぎている。院内も異常な寒さで、凍える。着の身着のまま、冷静さを失って出てきてしまったので、真夏の恰好である。あまりに寒いので、外にあったベンチへ移動。外出するときはサンダルNG。温度調節できる上着を必ず持っていた方が良い。

出入口にいるので、色んな人が疎らに通り過ぎていく。一人の入院患者が点滴を腕に差し、点滴台をカタカタと押しながら外に出てきた。

”〇×△▼◆…pretty! n~?”

どうやら夕焼けが綺麗だ、と言っているようだ。適当に相槌を打つ。You are happy, I am happyの心境。細かいことは気にしない。

女性患者 ”××◆◆〇▼…lighter???"

わたし "Sorry,I can't understand very well.What did you say?"

女性患者 ”××◆◆〇▼…lighter???"”LIGHTER!!!"←身振りを付けた

(あー、タバコを吸いに来たらしい。そっか、ここは喫煙者がタバコを吸いに来るためのベンチでもあるのか。)

持っていないことを伝えると、何やら、

”タバコ吸いたいのに、吸えねーんだよ、今。”的なことをブツクサ言っている。

その後も暫くブツクサ独り言なのか、私達に話しかけているのか、分からないが、夕日がきれいな事、自分の体調不良を訴えているような感じだ。まあ、よく分かんないけど、”あはー、nふー。”と相槌を打ち、”Take care"と言って見送る。

次男「ママ、いまのひとがなにをいっていたのか、わかったの?」

わたし「よくわかんないけど、ただ、しゃべりたかっただけだから、うんうんっていってあげれば、それでなっとくして、はっぴーなんじゃないかな。にほんじんでもそういう人いるでしょ?」

簡単にYESやSORRYを言ってはいけないという訴訟国家のアメリカだろうが、それは相手との状況次第であろうと思う。細部までは受け止められなくても誰かに頷いてもらいたいだけの人は沢山いるものだ。

 

寝起きでご機嫌の次男のおしゃべりを聞きながら、ベンチで30分位過ごした頃、 दानdānaが再び1人でやってきた。

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Appendicitis 虫垂炎

 दानdāna「虫垂炎かもしれないって。その検査をするのにCT画像撮影まで2時間掛かるから、交渉して、貴方達も中に入れるように許可もらったから、一緒に行こう。画像診断の結果次第では、ここには小児外科医がいないから、また、転院になるらしい。」

(…虫垂炎?!も、もうちょうですか?!?!?!外科手術???)

顔面蒼白である。お医者さんに診てもらえた安心感と同時に、ショックで目の前真っ暗。けれど、次男も一緒なので、取り乱すわけにはいかない。

दानdānaと一緒に受付で体温チェックを受け、2階の診療エリアへと上がる。

दानdāna「ここに座って待ってて、ぼくは中で(長男)と一緒にいるから。詳しいことはメールしてある。ここはフリーwifiがあるから設定してみて!寒かったら、ブランケット貰えるから、看護婦さんに聞いてね。」と、そそくさと奥の方へ行ってしまった。

すぐにフリーwifiを繋げてメールをチェック。よりによって、電源が50%しか残っていない…。アメリカではどこでもコンセント口さえあれば充電しても良さそうな大らかな空気が流れている。これからは充電コードも持ち歩こう。沢山のLINEグループからのLINEがジャンジャン入ってくる。そっか、日本は朝だ。通知をオフにして電源の浪費を防ぐ。

どのようにदानdānaが交渉してくれてここに座っていれるのか、よく経緯も分からない。なるべく、そっと、じっと、目立たずに座っていたい。けれど、元気いっぱいの次男君。

「さむいし、おなかすいたよ~。」

まあ、当然と言えば、当然。もう20時半だ。家を出たのが16時頃。出る直前にお腹が空いたと言っていたので、慌ててパンを1個持たせて車の中で食べさせたきり。取り敢えず、दानdānaがブランケットは貰えると言っていたので、目の前に座っていた看護師に

"Could you give me a blanket for him?"と言ってみる。頭が真っ白な状態で、口に出る英語は、Could you で相手にお願いしているのか、Can Iと言って、自分への許可をもらっているのか、よく分からなくなる。give me 辺りくらいまでとても怪訝そうな、面倒くさそうな顔をされたので、慌てて、for himを付けて、子供のために、とアピールしてみる。アメリカでは?南部?では?弱者はプライオリティが高い印象である。子供や子連れの親子。老人。病気の人、マイノリティに対して。こっちに来るまで、人種差別の問題は、黒人もマイノリティだからだと思い込んでいたが、この辺りではマジョリティである。弱者には当たらないのだろう。けれど、英語の不自由な日本人の子連れは、弱者に当たるようで、守られるべき、という社会認識が働くようだ。特例が認められて上に上がってこれたのも、そういう理由からのようだ。

面倒くさそうではあるが、ブランケットというか、ベッドシーツを貰い、次男君、欲しいものを先ず一つゲット。

「おなかすいたよ~~。」

いや~、それは無理…ここから動いたら、中にどうやって入ってこれるのか、携帯電話もつながらない中、ここを動いてはダメだ…。

「おなかすいたよ~、なにか、たべたいよ~。」×30回位続いた。

勇気を出して、今度は別の、暇そうに警備員らしいオジサンとなごんでいる看護師と警備員に尋ねてみる。

私「カフェテリアや売店は院内にありますか?子供がお腹を空かせているので。」

警備員"No Cafeteria!コロナ✖●▼◆…”

コロナの影響でカフェテリアは閉まっている、らしいことを言っている。

看護師「1階に自動販売機があるから、そこでサンドイッチが買えるわよ。」

ここが何階なのかも分からず、自販機があってもどこで食べればいいのか?質問は次々と浮かぶ。慌てず、一つずつ、確認して1階に降りる。親切なんだろうけれど、ぶっきらぼうな雰囲気がチェコ人を思い出させる。愛想のいい日本人を不気味に思う欧米人と反対だ。もう少し、愛想良くしてくれてもいいのにな…。

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To be continued

#アメリカの病院

#言葉と気持ち

#弱者にやさしいアメリカ人